Chose secrètes&Couronnement de la Vierge -Art Column-

16世紀フランドル画家と三連祭壇画

 ドレスChose secrètes は16世紀フランドルの画家Jan Van Dornickeの作品『Triptyque de l'abbaye de Dielegem(ディーレヘム修道院の三連祭壇画)』をコラージュしたものです。作品は修道院の礼拝堂のために制作された三連祭壇画で、現在はベルギーのブリュッセルの王立美術館に所蔵されています。

 三連祭壇画は、中央の宗教的な場面や聖人の像が描かれたパネルと、左右一個づつ小さめのパネルの三枚で構成されています。16世紀のフランドルでは、画家たちが修道院や教会向けに宗教的な絵画や祭壇画を制作することが一般的でした。JEJ2021の作品Le paradis(Jardín de las delicias) JSKでもヒエロニムス・ボスの三連祭壇画『快楽の園』を使用しました。

時代を見据える洞察-フアネスの芸術創造

 ドレスCouronnement de la Vierge はスペインの画家、フアン・デ・フアネスの作品『The Immaculate Conception』をアレンジしたものです。

 フアネスはスペインルネサンス期の最も重要で有名な画家の一人でした。彼は生涯地元のバレンシアから離れることはなかったが、フランドル絵画やイタリアのラファエロ・サンツィオのような、世界中画家たちの最新のトレンドや要素を巧みに取り入れ、独自のスタイルを作り上げました。そんな彼の作品も、同時代人から多くの賞賛を受けました。

聖母マリア-無原罪の御宿り

 原作『The Immaculate Conception』では、聖母マリアが神の恵みによって、原罪の汚れから免れる御宿りの瞬間を描きました。

 純潔なマリアが白いローブに身を包み、金の光に浮かび、三位一体に冠をかぶっている姿で描かれています。そして、左右にマリアを囲む巻物には「TOTA PVLCHRA ES AMICA MEA 」と「 ET MACVULA NON EST IN TE」と書かれています。これは14世紀から発祥されたカトリック祈りの言葉、「あなたは完全な美しさを持つ、私の友よ。汚れはあなたのうちにない」とマリアを賛美します。

 この作品はフアネスの『最後の晩餐』などの傑作のひとつでした。パワフルな色使いと神聖感が、今でも感動させるタイムレスな美しさをもたらした。

 

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