"Jewel of the plant"- -Art Column-プラントの宝石

魔女の宴会

  人里から離れた荒野に聳え立つ鋼鉄のプラント、血管のように緻密に入り混じるパイプ、生物のような複雑な構造、吹き出す蒸気はその吐息、巨大な怪獣は眠りに入っている。だんだん夜が更け、月をさえぎる薄い雲が消え、鋼鉄の城塞がその光の下で、メタリックな冷たい光沢を放つ。今宵は満月の夜、宴会の夜だ。

 12時の鐘が鳴り、ふっと冷たい風が吹き出し、遠方から魔女の群れが飛んで来た。彼女たちは人の心を弄ぶ妖艶な存在、薄い黒のベールがその美しい姿を隠し、風と共に揺らぐ。魔女たちが杖を振り、すると鋼鉄の怪獣は魂が降り注がれたのごとく、一瞬に幾万の目を開き、その光は漆黒の夜を貫き、宝石のように輝いていた。空もその反射でミステリーなやさしい紫色に染められ、夢とロマンに満ちた鋼の世界となった。

魔女の舞踏会

  さあ!舞い上がろう、歌おう、盛大に、

  この満月の夜で、今宵は魔女たちの舞踏会だ。

  さあ!舞い上がろう、歌おう、盛大に、

  にぎやかな城ででも、荒野にあるこの鋼鉄の城塞ででも、

  豪華なデコレーションも、拍手してくれる観客も、花もいらない。

  どこもあなたの舞台。

  君はいつでもライトの中心に立つべき存在。

  自分のために舞い上がろう、 自分のために祝おう、

  この夢とロマンに満ちた鋼の世界で

写真家小林哲朗とのコラボ

 この度のデザインでは写真家小林哲朗さんの作品を使用しました。ドレスのプリントは上下二つの部分に分けられ、下の部分では輝く工場の全体図を示し、胸の部分では写真のクローズアップ図です。

 小林さんは主に工場、巨大な建造物、地下空間などを被写体として制作活動をしてきました。彼は2004年の時に廃墟を扱っているサイトを発見し、異世界を見ているようだと驚きました。その後廃鉱山などを見に行き、すっかりハマってしまいました。当時の小林さんはまたプロの写真家として活動をしてなく、日中は保育士として働き、土日や早上がりの日では寝る間も惜しんで廃墟を訪ね、写真をとり続けてきました。そして2012年に保育士を辞め、プロとなり、北海道から九州まで日本全国の主な工場地帯を回り、工場の夜景などを撮影してきました。近年はドローンを使って空中からの撮影もやり始め、各地で展示をし、人気を集めてきました。

          

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