"Viola dans la brume"- -Art Column-霧中のスミレ

パープルピンク-菫の芳香

  太陽が沈み、鳥が眠り、大地も夜に沈んだ。闇の中、 深くて歴史のあるヨーロッパスタイルの城塞、貴族少女の部屋からかすかな蝋燭の光が灯っている。 少女は豪華なレースカーテンに囲まれたベットに横たわり、寝返りを打ちながら眠れなかった。心を静めるため、彼女はテーブルの方へ向かい、一番小さな蝋燭を手に取り、シルバーの香炉に一本のインセンスを焚いた。 蝋燭の赤い温もりがゆっくりと染み込むと、森のような爽やかで雅な木の香りが広がり、この蒸し暑い夏の夜に心地よい涼しさをもたらしてくれた。 そのあとほのかなフローラルの香りが漂い、穏やかで暖かい菫の芳香が、薄いパープルピンクのスモークとなり、波のようにゆったりと空中で伸び、落ち着いた香りを部屋に満たした。

白きモスー光を追いかける者

 ふっと、一匹の白いモスが蝋燭の明かりを辿って、窓から飛び込んで来た。孤独な白いモスが一人で長い夜を彷徨い、自分だけの光と希望を探し続けていた。赤く燃える蝋燭の光が魔法に満ちているようで、どんどん白いモスを引き寄せていた。その柔らかくて繊細な羽が炎の芯に触れた瞬間、パチッと音がして、白いモスの体はやっと暖かい炎に包まれた。夏の夜の静寂が破れ、少女は驚いてふっと窓の方を見た。白いモスはもう煙となり、このスモークパープルピンクの香りに溶け込んだ。翼から零れ落ちた鱗粉だけが、燃えつくした花火の破片のように流れ落ち、またキラキラと微かに光っていた。孤独な白いモスが自分だけの光へ戻った。薄いパープルのスモークは蝋燭の灯りとともに、ゆったりと波打ちながら空中に上っていた。魅惑的で優しく、けれど幾分薄情な気配も漂っていた。

永遠の光 永遠の希望

 誰の心の中にも憧れの光がある。希望を与え、その胸いっぱいの情熱に進む方向を示す光である。その光に追いつき、触れた瞬間に、何が起きるか誰も知らない。けれど、たとえ最後その身が滅ぶ結末になるにしても、夢のために、希望のために追い続ける貴女の勇気、そしてその姿は何時でも美しいものである。

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