"Votre rêve"- -Art Column-ヴォートル・レーヴ

  この度プリントで使用された絵はドイツ系スイス人画家ヨハン・ハインリッヒ・フュースリーが1802年に描かれた作品です。

1.博識な神学者

フュースリーは肖像画画家の父ヨハン・カスパー・フュッスリのコレクションを幼い頃から勉強し、絵画の練習をしてきましたが、父が彼を神学者にしようとしました。その後彼はスイスの詩人ヨハン・ヤーコプ・ボードマーと文献学者ヨハン・ヤコブ・ブライティンガーの下で人文学の勉強をしました。これによって彼は言語・古典文学に精通し、師ヨハン・ヤーコプ・ボードマーの導きでシェイクスピアやイギリスの詩人ジョン・ミルトンの著作に対して興味を湧いてきました。この度プリントで使用された絵画作品もミルトンの『失楽園』のために制作された47枚の挿絵の一枚『Satan and Death with Sin Intervening』です。

2.『Satan and Death with Sin Intervening』

『失楽園』はイギリス詩人ジョン・ミルトンがアダムとイブが生まれる以前の時代を物語にした叙事詩です。

 画面の左側にいるのが悪魔となった堕天使サタンです。彼は神に造られたパラダイス(楽園)の話を聞いた後、怒りに満たされ、それを破壊しようとし、混沌を飛び抜けて楽園の門まで来ました。しかし、門を守っているのがサタンの娘である「罪」です。彼女はサタンの精神の創造物で、その後二人の間に実体のない黒い影として存在する「死」が生まれたが、サタンがそれを知らなかったです。この作品で描かれている場面は、息子の「死」を殺そうとするサタンの間に「罪」が飛び込み、愛する二人のバトルを止めようとする一瞬です。

 

3.崇高なる悪魔・死とロマンの時代を切り開く

 フュースリーが描いた『失楽園』ではサタンに脚光を浴びさせ主役にしました。ミルトンの詩ではアダムとイヴが楽園から追放されたのが最後の結末でした。神によって創造された万物は神という絶対的な権力の前で逆らえず、ただ与えられた罰と苦難を耐えるしかない哀れな存在です。だが悪魔となった堕天使サタンがこの絶望的な状況で、唯一神に反逆しようとする英雄的な存在と見なされ、そのため絵画作品でサタンに尊い人格を持たせ、悲壮で堂々とした反逆者として描くのがフュースリーで初めてかもしれません。以降フュースリーの作品がウィリアムブレイクなど多くの画家や、『フランケンシュタイン』の作者メアリ・シェリーやエドガー・アラン・ポーなどの死・ホラー・ロマンを交わるゴシック・ホラーの怪奇小説家たちにも大きな影響を与えました。

 

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