永遠の夢を抱きしめる、
祝祭と静謐の肖像。
ユニコーンが振り返り、語らぬ花々が咲き誇る、
過去と幻想が織り重なる静謐なコラージュ。
纏う者にだけ許される、ひそやかな聖域への扉。
16〜19世紀の意匠を蒐め、
幻想の画面をシャンタンに描き出した本作。
マールテン・デ・フォスによる二頭のユニコーンは、
対峙する構図の中に象徴性を秘め、
Harmanus Uppinkの花は豊穣の角(コルヌコピア)とともに
祝祭の余韻を奏でます。
金の額縁や重厚なドレープが時代を超えた奥行きを与え、
ベージュとブラック、それぞれの画布に宿る静けさの色彩が、
纏う人自身が美術館の一部となるような佇まいを演出します。
腰まわりには透けるシフォンの飾り布を配し、
動きに合わせて光を掬う陰影を添えて。
ゆらめくサテンリボンは深みある補色で構成され、
装いに立体的なアクセントを添えます。
シャンタン生地のもつ微光沢とハリ感が
プリントの重厚さを引き立てながら、
スカートの立体ドレープは歩みにあわせて変奏し、
一瞬一瞬が詩のように姿を変える美を紡ぎます。
古典が眠る聖域で、時は密やかに熟成される。
このドレスは、見る者の意識を画面の奥深くへと誘い、
祝祭の余韻と静謐の残香が交錯する“貴腐”の美を描き出します。
アンティークのような深みを帯びた色彩と、
繊細なレースや構築的シルエットが織りなす、ただ一つの物語。
それは、夢幻の扉を開く鍵となることでしょう。